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痛み止めの効かない慢性的な痛みやしびれに対する特効薬を詳しく解説。帯状疱疹や癌の痛みに劇的に有効。

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慢性的に続く痛み、痛み止めを飲んでもあまり和らがない痛みというの大きく生活の質を下げます。

自分自身経験がありますが、日常生活をおくるのも難しく常に痛みのことが頭のどこかにあったりすると、もはや何も手に付きません。

そんな慢性的な痛みに対して、モルヒネなどと比べてずっと安全な特効薬があるのをご存知でしょうか。その薬剤の名も”リリカ”。

この薬がなぜ大きな期待を持って迎えられたのか、どういう症状に対して有効なのか、何故効くのかについて解説していきます。

自分の痛みに対して積極的に情報を集めておかなければ、医者が処方してくる薬が自分の症状から外れていることに気づかず、治療までに遠回りすることになります。

お医者さんも万能ではないので、自分で自分のことを知るという姿勢が大切だと思います。

慢性的な痛みに悩んでいて何とかしたいという方には、是非読んでいただきたいと思います。

この記事で伝えたいこと

・我慢する必要の無い痛みは薬を使えばいい

・”リリカ”は神経性の痛みに対する特効薬

・どういった症状に有効なのか

・モルヒネのような副作用は無いのか

こういったことを解説していきます。

 

我慢する必要のない痛みには薬を使えば良い

我慢する必要のない痛みとはなんでしょうか。人が感じる痛みには2種類あることがわかっています。

1つ目は人に危険を伝えるための痛みです。例えば怪我をしたとき、手足から痛みの信号が脳に送られて”痛い!”と感じますが、これは危険を伝えるための痛みです。これは専門用語で侵害受容性疼痛と呼ばれ、人間が生きていくために必須のものです。

そして2つ目が今回の主役、神経障害性疼痛です。これは、何らかの原因で神経が障害された結果、痛みが必要以上に増強されて伝わり、激しい痛みを感じるというものです。

重要なのは、この神経が障害されたために生じる痛みはそれ自体に意味がなく、ただ痛い状態が無益に続いているという不毛なものであるということです。つまり危険を知らせる痛みと異なり、理由もない痛みに苦しんでいるだけの状態なのです。

このような痛みに対しては我慢することなく、薬を使って抑えてしまうのが良いでしょう。

リリカは神経性の痛みに対する特効薬!

帯状疱疹や事故の後後遺症の痛みといった神経性の痛みは、一般的な痛み止めであるロキソニンやアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬はほとんど効果がありません。

これらの鎮痛薬は痛みの原因である神経の故障に対してほとんど効果を持たないためです。

そのような一般的な鎮痛薬が効きにくい神経の痛みに対してリリカが特異的によく効くのかを知るためには、神経性の痛みがどのようなものか知っておかねばなりません。

神経の痛みとは、神経過敏により痛みが増強して伝わっていること。

帯状疱疹や、癌、事故などの何らかの原因で神経が傷つけられた場合、少しの刺激に対しても神経が過敏に応答するようになります。

下の図は神経が痛みを伝える様子を示したものです。(お薬Q&Aより引用)

神経にカルシウムイオン(Ca2+)が入ってくると、神経は痛みが入ってきたと感じ、痛みを伝える神経伝達物質を放出します。この際、帯状疱疹や事故の障害などによって神経が傷つけられていると、この神経伝達物質が必要以上に大量に放出され、非常に強い痛みとして感じられるのです。

リリカは神経の過剰な反応を抑制する

このような神経の痛みを何とかしたいと開発されたのがリリカです。リリカは神経に対するカルシウムイオンの流入をブロックする働きがあります。

リリカが体内に取り込まれると、過剰に反応している神経のカルシウムセンサーの一部をブロックして、カルシウムイオンが神経に取り込まれる量を減らします。

これによって過剰に反応していた神経は、適切な量の神経伝達物質を出すようになり、結果として痛みが引くのです。

この神経に直接働きかける作用はロキソニンやアセトアミノフェン系の鎮痛薬にはなく、リリカ特有おものです。これがリリカが神経の痛みに対する特効薬と呼ばれる所以なのです。

リリカは神経の障害や過剰反応を起因とする痛みに非常に効果的

例えばあなたが交通事故にあって骨折したとすると、最初に訪れる痛みは間違いなくその骨折によるものでしょう。このような自身が怪我をしたり、危険を知らせる痛みに対してはリリカはほとんど作用しません。

したがってこのような場合に用いる鎮痛薬はリリカではなく、ロキソニンやボルタレン、アセトアミノフェン系のものになります。

しかしその事故で神経が傷ついて過剰に痛みの信号が伝わっている場合、これらの薬剤はほとんど効果を発揮できません。このような時にリリカは凄い効果を発揮するのです。

この例でも見たように、多くの痛みでは神経による痛みと、怪我等による危険を知らせる痛みが混在します。そのため、リリカだけを使用するというよりは、それぞれが相補的にはたらいて和らげてくれるのです。

ジンジン焼けるような痛みや、ビリビリ電気が流れるような痛みは神経痛かも?

神経に由来する痛みとは多種多様です。帯状疱疹後の痛みや三叉神経痛などであれば、もはや耐えられるようなものでも無いので、病院に行って病状が明らかになることもあるでしょう。

しかし、日常生活では少し気になるものの続く痛みの場合は放置しがちではないでしょうか。加齢や骨折、事故等が原因で骨盤付近の神経が傷つけられたりすると、痛みはどこに出ると思いますか。

答えは腰から下の全体です。足が痛くなることもあれば、ふともも、スネ、腰そのものなどありとあらゆる場所に痛みが現れるのです。

同様に首付近の神経が障害されると、首付近だけでなく、首から手先や背中にかけて痛みが走ることがよくあります。

患者さんがよく表現するのは、”焼けるようなジンジンした痛み”とか、”電気が通ったようなビリビリした痛み”だそうです。

このような症状に見に覚えがある方は、一度ペインクリニックを受信した方が良いでしょう。

リリカはモルヒネとかと比べてずっと安全!

強力な痛み止めと聞いて皆さんが頭に思い浮かべるのはモルヒネではないでしょうか。ご存知のようにモルヒネは非常に強力な鎮痛作用を持ち、末期癌の痛みを取り除くために使用されています。

しかし、リリカはモルヒネと同様に神経に効く薬剤でありながら、ずっと安全なのです。言いたいことを図にまとめるとこんな感じです。

リリカは解説してきたように神経の過剰な痛みの伝達を抑制することで鎮痛効果を発揮しますが、正常状態にある神経に対しては薬理効果をほとんど持ちません。つまり正常な痛覚を麻痺させたりすることなく、神経の炎症による過剰な痛みのみを抑えることができるのです。

加えてリリカは基本的には手足にあるような末梢神経の神経伝達に対して効果を発揮します。そのため脳の神経に対して大きく作用することはなく、依存性等の問題も生じないとされています。

モルヒネも神経障害性疼痛に用いられる強力な痛み止めですが、その様子は大きく異なります。まずモルヒネはリリカと異なり脳内の神経に対して強力に作用するうえ、正常な場合にも異常な場合にも関係なく効果を発揮します。

モルヒネは服用すると脳内の快感を司る神経に対して作用して、ドーパミンの放出を促します。ドーパミンが出ると脳は「気持ちいい!」と感じるため、一時的に痛み等を感じなくなり鎮痛効果を発揮します。モルヒネで問題なのはこのドーパミンを放出することです。「気持ちいい!」と感じた脳は「もっとくれ!」となるために、依存性を生じます。

このように作用の仕組みの違いがリリカをより安全で効果的な薬にしているのです。なおモルヒネの場合にも医師の適切な指導のもと服用していれば依存性は生じないことがWHOにより確認されているので、現在処方されている人は指示に従ってください。

まとめ

通常の痛み止めが効かない慢性的な痛みで苦しんでいる患者数は年々増加しています。リリカは2010年に発売された比較的新しい薬ですが、2017年度の薬の売上の第一位を獲得するほどです。

この記事を読まれている方も僕と同様に慢性的な痛みに苦しんでいるかもしれません。一方で適切な治療法を常に勉強している勤勉な医師の治療を受けられないこともあります。

自分自身の症状について、どのような最新の治療法があるのかを知っておくことはいつか役立つことになるでしょう。



 

関連記事

<参考文献>

1.  Jpn. J. Pharm. Palliat. Care Sci. 4. 53-65 (2011)

2.  疼痛治療剤(神経障害性疼痛・線維筋痛症)

3.  滋賀医科大統合臓器生理学部門HP

 

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